今回の記事は前立腺癌についての記事です。
そもそも前立腺ってなんだよ?っていうかたもいるかと思いますので、
知らない方は以下の記事で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
今回の目次は以下の通りです。
まず行うこと
✔ PSA
前立腺癌の検査といえば、まずはPSAがかかせません。
これは血液検査の項目で、正常値はだいたい4ng/mL以下とされています。
外来に来られる患者さんのほとんどは、検診などでこの値が高いため紹介されてきます。
もちろん、PSAが高いだけで前立腺癌ですね、とはなりません。
なぜなら前立腺に炎症があったり、前立腺が大きいとPSAが上がることもあるからです。
このため、数値の上がり具合にもよりますが、
3か月後くらいにもう一度検査してみるという場合もあります。
どちらにせよ、この値を調べないと前立腺癌の検査は始まらないといっても
過言ではありません。
✔ 直腸診
前立腺癌が疑われるときに、泌尿器科が必ずと言っていいほど行う検査が
この「直腸診」です。
人差し指を肛門からいれて、前立腺を触る検査です。
前立腺の一部分しか触ることができませんが、
しっかり前立腺癌がある場合は明らかに正常よりも硬いことがわかりますので
有用な検査です。
また、前立腺の大きさも直接ふれるのでわかりやすいです。
正直、患者さんとしては嫌な検査です。
それでも必要な検査ですので、ご協力のほどよろしくお願いします。
・次の段階の検査(MRI検査、針生検)
さて、上の2つの検査の結果や年齢などを踏まえて、さらに検査が必要だと判断すると
次の検査にうつります。
✔ MRI検査
これは聞いたことあるかたもいるでしょう。
磁気を利用して体の輪切りの写真を撮る検査です。
狭いところに寝かされて、グワングワン大きな音がする検査です。笑
この検査で前立腺を画像で評価します。
MRIは撮影の条件がいくつかあり、それぞれで前立腺癌が疑わしい見え方だな、
となると針生検を行う流れになります。
✔ 前立腺針生検
そうです。その字の通り、前立腺に針を刺して直接的に前立腺の組織をとってきます。
刺す数や麻酔の方法、刺し方、入院するかどうか、などは病院ごとそれぞれですので、
この検査を行うことになったら詳しく聞いてみるとよいでしょう。
これで何がわかるかというと、前立腺癌であるというハッキリとした証拠が得られます。
この検査で前立腺癌だなとなれば、確定診断になります。
しかし、大事なことは、癌の組織がないから前立腺癌じゃない!とは言えません。
ほそーい針で10か所くらい刺してとってきただけなので、
前立腺癌全体のことは分からないからです。
全身の転移を調べるために(造影CT検査、骨シンチグラフィー)
これらの検査は、前立腺癌だと診断がついたあとに行うことがほとんどです。
目的は全身に転移があるかどうかを調べることです。
✔ 造影CT検査
撮影の範囲は胸から骨盤までを撮ります。
MRIよりは撮影の時間が短いです。
造影剤という血流をわかりやすくする薬を使うのでアレルギーには注意です。
主にほかの臓器への転移やリンパ節が腫れていて転移があやしくないかなどを調べます。
✔ 骨シンチグラフィー
こちらは造影CTとは違い、全身の骨に転移がないかを調べます。
前立腺癌は骨に転移しやすいので。
こうした転移の検査は、手術が可能かどうかなど、
今後の治療を考えるうえで参考にする重要な検査です。
例外の場合
ここまで前立腺癌の一通りの検査について説明してきました。
もともこもないですが、この検査を行わない例外があるという話をします。
どういったときに検査が省略されるか。
✔ 高齢である場合
まずは高齢者である場合。
具体的には80代後半などの方だと、
平均寿命などを考えて、針生検などの検査はせずに前立腺癌と診断する場合もあります。
また心臓や脳の病気で抗血栓薬(血液を固まりづらくする薬)を飲んでいると、
薬の調整が必要だったりしますので、検査すべきか検討することもあります。
✔ PSAがとても高い場合
上で述べましたが、PSAの正常値はだいたい4以下です。
しかし、なかには初めて測ってみたらPSAが数千~数万という患者さんもいます。
もともとPSAは優秀な検査項目ですので、
それほどPSAが高ければ前立腺癌でありかつ転移がある可能性はかなり高いと考えられます。
こうした場合は、検査を省略する可能性があります。
まとめ
ここまで読んでくださったかたは、前立腺癌の検査についてざっくり学べたと思います。
どの検査をどのタイミングで行うかは本当にケースバイケースです。
今回の説明はあくまで一般的なものですので、ご参考までに。
今回のまとめです。
・前立腺癌を疑ったらまずはPSA、直腸診!
・画像検査はMRI、造影CT、骨シンチグラフィーなど。直接組織をとるのは針生検。
・ときには省略される検査もある。
興味のあるかたはほかの文献、サイトなどでも調べてみてください。
それでは、うろろでした。
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