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【治療編】膀胱癌の治療方法を説明します!【泌尿器科医が解説】

どうも、みなさん。こんにちは。

今回の記事は、膀胱癌の治療についてです。

サンドウィッチマンの伊達さんが膀胱癌であることを公表して大きなニュースとなったのも記憶に新しいと思います。

身近に膀胱癌の患者さんがいるかたもそうでないかたも、ぜひ読んでみてください!

それでは行ってみましょう!

目次

・経尿道的膀胱腫瘍切除術

この手術は、膀胱癌を疑った場合にまずはじめに行う治療です。

細いカメラで膀胱の中をのぞきながら、電気メスで膀胱の腫瘍を削り取ってきます。

この治療のメリットは、腫瘍を取ってくることだけではありません!

膀胱の粘膜や筋肉の層まで削ることで、癌が膀胱の壁のどの深さまで進んでいるかを同時に調べることができるのです!

また、同時にほんとうに癌なのかどうか、癌であった場合顔つきの悪さはどれほどなのかということも知ることができます。

これは膀胱癌にとってすごく大事なことなんです。

なぜならば、癌がどれくらいの深さにあるかによってその後の治療が全く別のものになるからです。

・経過観察

癌が膀胱粘膜より深くに進んでおらず、癌細胞の顔つきがそこまで悪くない場合に再発しないか経過をみる場合があります。

追加の治療を行わず、3カ月~1年ごとくらいで膀胱鏡という膀胱の中をカメラで見る検査を行います。

・BCG膀胱内注入療法

癌が膀胱の粘膜までしかないけれども、顔つきが悪い場合にこの治療が行われます。

BCGというと、みなさんは小さいころに打つBCGワクチンを思い出すかもしれません。

そうです、それと同じです。BCGというのは毒を弱くした結核菌でありこれが膀胱の中の見えない小さな癌細胞を攻撃して再発するのを防ぐ効果があります。

基本的に6~8週間のあいだ毎週来ていただき、この結核菌が入った液体を膀胱の中に注入します。

炎症を起こす治療なので、頻尿や排尿時の痛みなど膀胱炎に似た症状が出ます。

なかなか続けるのがつらくなってしまう患者さんもときどきおられます。

・Second-TUR

その名の通り、Second=2回目の手術、ということです。

1回目の手術で膀胱癌が粘膜下層まで進んでいるという結果が出た場合。

もう一度同じ手術を行って「本当に癌は粘膜下層までなのか、それより深い筋肉の層まで進んでいるのか」を確かめます。

「なんでわざわざもう1回手術してそんなこと確かめる必要があるの?」という質問が飛んできそうですね笑 なぜかと言えば、筋肉まで膀胱癌が進んでいた場合、つぎに解説する膀胱全摘という大きな手術を行う必要が出てくるからです。

このため筋肉の層まで進んでいるかが治療の大きな分岐点になるわけです。

・膀胱全摘除術

膀胱癌が膀胱の筋肉まで進んでいた時に選ばれる治療です。転移がない場合は、この手術で膀胱が取りきれれば病気を治すことができます。もちろん再発する可能性はありますので手術後も定期的に受診していただく必要はあります。

お腹を開ける手術ですし、時間もかかるので全身の状態が手術に耐えられる人でないとこの治療はできません。近年はロボットでの手術を行っている施設もあります。

・陽子線治療

上の手術と同様に、筋肉の層まで膀胱癌が進んでいた場合に行われる治療です。最新の治療のため、長期間の効果がまだわかっていない治療ですし、行っている施設もまだまだ多くはありません。膀胱を手術で取らなくても治せるというメリットがあります。治療期間は3カ月ほどかかります。化学療法を組み合わせて行うので、年齢や全身の状態、どのような膀胱癌であったかを総合的に評価してこの治療に合うかが判断されます。特にこの治療に力を入れているのが筑波大学です。紹介状がかならず必要ですので、いきなり受診するのはやめましょう。

・化学療法

名前を聞いたことがあるひとも多いのではないでしょうか。抗癌剤を投与して癌細胞をやっつける治療です。膀胱癌と診断されたときにすでに転移があった場合や、手術が難しい場合、あとは手術の前に膀胱癌の進行を抑えたり、小さくしたい場合に行います。いろいろな状況で使われることが多いです。抗癌剤のため、副作用がいくつかありますのでしっかりと評価しながら治療を行う必要があります。

・免疫チェックポイント阻害薬

最近、研究が進んで効果が認められてきている治療薬です。上の化学療法と同じく、膀胱以外に転移があるかたや、治療後に再発してしまったかたに用いられる治療法です。

簡単に説明すると、自分の体の免疫ががん細胞をやっつける手助けをするようなお薬です。

もちろん免疫機能が悪さをしてしまう可能性もあるので、そのような場合は追加の治療が必要になる場合もあります。

・放射線療法

放射線を膀胱の腫瘍に当てて治療します。この治療だけで膀胱癌を治すことは難しいので、病気が進行したときに血尿などの症状をやわらげる目的で行われることが多いです。

・まとめ

いかがでしたでしょうか。ある程度もれなく治療について解説できたかと思います。

文字数が多くなってしまったので、興味がある部分などを中心にざっと読んでいただければと思います。

それぞれの治療をざっくりとしか説明できていませんので、実際に治療を受けられる方は担当の先生にしっかりとお話をきいてください。

どの治療にもメリットとデメリットがあります。どちらも知ったうえで自分や家族がうける治療を選んでいただければ幸いです。

それでは。

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この記事を書いた人

とある都市で働く現役泌尿器科医。一般の方に泌尿器科の病気をわかりやすく伝えるためにブログを開始。

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